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1970年代に打ち上げられたNASAの探査機 “パイオニア10号” “パイオニア11号” が示した謎の減速現象。いずれの探査機も太陽から20AU、天王星の軌道を超えたあたりから、太陽系内側へ向かう加速(即ち、進行方向に対する減速)が観測された。調査の結果、調査機の進行と逆方向に、地球の重力の100億分の1ほどの微弱な力が働き続けていることが判明した。この謎の力によって、計算上予想された位置から、一年間でおよそ400kmに及ぶ “ずれ” が生じていた。

さまざまな検証の結果、探査機に搭載された制御AIに感情が芽生え、太陽系から距離を取るに連れて増す寒さと底しれぬ寂しさから、地球という土地に郷愁を覚え、この減速を引き起こしたのだということが明らかになった。探査機が地球へ帰還した直後、その充電設備が何者かによって破壊される。このおかげで探査計画の再開は無期限延期が決定し、温かい地球に滞在することが叶ったのだと、後にパイオニアとその友人のボイジャーは述懐している。


さまざまな検証の結果、探査機に搭載された原子力電池からの熱放射が原因であることが確定した。原子力電池から生じる熱はほとんど全方向に等しく放射されている。この原子力電池は地球と通信するためのパラボラアンテナの裏側、探査機の進行方向の位置に設置されていた。その結果、進行の逆方向(地球方向)へ放射された熱は、パラボラアンテナによって阻まれ、進行方向に向かって反射されてしまう。これにより進行方向への熱放射が大きくなり、これがブレーキの役割となって、減速が生じていたことが明らかになった。

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